おじいさんの素直ほど恐いものはない
Johnny Cash “American 4: The Man Comes Around”
2011.
01.08
年老いてからじゃないと、できないこと。 このアルバムにはじめてあったのは、中3の時、ひたすらMTVをみて、メロコアとかグランジを追いかけていた時だった。 な にかの番組のエンディングで流れたPVが同氏によるナインインチネイルズのカバー”hurt”だった。もちろんその当時はカントリーなんて古臭い、ダサいというイメージというか、なんのイメージもない、関心の外のものだった。そのためジョ ニーキャッシュへとつながるわけもなく、ただあのヤングなナインインチネイルズの曲をピアノで淡々と弾いてるプルプルしたじいさんににんまりしただけだった。 それから数年が経ち、カントリーをかじり出し、ナインインチネイルズを見つめ直した時にふっと再発見した。 本作はカントリーの大御所が、死ぬまでの数年で綴ったアメリカンレコーディングというシリーズものの、第四段。総合プロデューサーは音楽絡みの映画が多い、リックルービン。 ビートルズや、イーグルス、ナインインチネイルズなどなど新旧入り混ぜた曲のほとんどをアコギもしくはピアノと老成した声で聴かせる。 王道とかセオリー通りとかじゃなくて、プロ野球のOBファン感謝祭で、爺さんが丁寧に振りかぶって、自分の年齢ぐらいのストレートをひたすらど真ん中に投げ込んでる感じ。しかも、ソフトボールで。 カーブもインコースもなく、ただ軌道がすごくいい。 そういう音楽の魅力。